【毎月更新】これだけは入れたいClaude Skills 20選+今月の新顔4選(2026年10月号)

気づけばもう10月。先月始めたこの企画、2回目にして早速ひとつ軌道修正したい点がある。後半で説明する。

その前に ── Claudeは今でもCodexより使われているのか

この連載を続けている以上、避けて通れない質問をもらった。「Claudeってそもそもいいの?まだCodexより利用率高いの?」。正直に数字で答える。

JetBrains Developer Ecosystem Survey 2026(5〜7月実施、15,000人以上の開発者が回答した第10回調査)では、Claude Codeの利用率は39%。GitHub Copilotの21%にほぼ2倍の差をつけ、Codexは16%にとどまる。「最も愛用しているツール」で選ばれた割合も46%とCursor(19%)の倍以上。複雑なタスクに限った集計でもClaude Codeが44%でCopilotの28%を大きく上回っている。

一方で、フェアに書いておくと、2026年4月時点でGitHub上位9,000リポジトリ(各言語TOP300)の設定ファイルを数えた別の調査では、Codex CLIが34.1%、Claude Codeが32.4%と、僅差でCodexが上回った瞬間があったのも事実だ。ただしこれは「スター上位の尖ったリポジトリ」という狭いサンプルでの話で、15,000人規模の広い調査とは前提が違う。企業のLLM API支出で見てもAnthropicが54%、OpenAIが21%(Menlo Ventures調べ)とAnthropicが優位という報告もある。総合すると「まだ優勢、ただし油断はできない」というのが実態に近いと思う。この連載も、優勢だからやっているというより、使っている人が多い以上は選び方の情報に需要があるだろう、というスタンスで続けていく。

今月のお知らせ ── /skill-doctorが地味に便利

9月のClaude Codeアップデートで、地味だがこの連載に直結する機能が増えた。/skill-doctorコマンドで、読み込まれているSkillのうち実際に「発動していないもの」とコンテキスト消費量を確認できるようになった(v2.1.261)。あわせてclaude.aiで有効にしたSkillをターミナル側に自動同期する機能(v2.1.275)、設定やSkillに残った旧モデル向けの古い記述を検出する/doctor prompt-audit(v2.1.283)も入った。

正直に言うと、これまでこの連載の「殿堂入り20選」は、GitHubスター数や公式リポジトリかどうかを主な判断材料にしてきた。ただ調べている過程で「GitHubのトレンドページと、Vercelが運営する実インストール数ベースのレジストリ『skills.sh』の上位10個は、ひとつも一致しない」という指摘記事を見つけてしまった。スター数は人気の目安にはなるが、実際に発動しているかどうかとは別物だということだ。/skill-doctorが広まれば、来月以降は「自分の手元でどれだけ呼ばれているか」という実測データも判断材料に混ぜていきたいと思っている。今月はまだ試験導入前なので、従来どおりスター数・公式度・裏取りのしやすさを基準にしている。

殿堂入り20選(2026年10月版)── 変動なし

今月は殿堂入りの顔ぶれに変更なし。4分類20個の一覧と使い方の解説は9月号を見てほしい。今月は数字が動いたところだけ書いておく。

Superpowers(開発ワークフロー9個)は9月の28万2,600スターから29万3,300スター。3週間で1万スター超というペースは変わらない。一方Trail of Bits(セキュリティ4個)は6.9kスターのまま動きなし。来月/skill-doctorの実測値が使えるようになったら、こちらも裏を取り直したい。文書処理系・デザイン系(公式7個)は特筆すべき変化なし。

先月の新顔、その後

先月「有力候補」と書いたtrailmarkとLangfuse Agent Skillについて、正直に経過報告する。どちらもまだ殿堂入りに昇格させるだけの材料が揃っていない。

Langfuse Agent Skillは本家リポジトリ(langfuse/skills)を確認したところ247スターと、他の殿堂入り組と比べると桁が2〜3個違う。公式プロダクトとの統合という強みはあるが、採用の広がりという点ではまだこれからという段階だと見ている。trailmarkはTrail of Bits本体のスター数が動いていないので判断材料が増えていない。どちらも「悪くない」という評価は変えないが、無責任に昇格と書くよりは、もう少し様子を見ることにする。

今月の新顔4選

今月は数を欲張らず4つに絞った。裏取りできたものだけ、という方針は先月から変えていない。

i-have-adhd ── Claudeの前置きを黙らせるSkill

名前のインパクトで目に留まった人も多いと思うが、中身はいたって実用的だ。作者ayghriが公開しているこのSkillは、「最初の行は読者がすぐ実行できる内容にする」「前置き・要約・締めの挨拶を禁止する」「リストは5項目まで」といった10個のルールで、Claudeの回答から冗長な前置きを削ぎ落とす。公開から日が浅いにもかかわらず3万スター超という伸び方をしていて、9月9日時点の実測では「git操作・PythonでのCSV処理・Dockerイメージ作成」の3タスクをそれぞれ3回ずつ試し、文字数で43%減、出力トークンで34%減、しかも9回中9回でスキル使用時の方が短くなったという結果を著者本人が公開している。技術的なキーワードも8〜30%削られる副作用はあるようなので、要約の精度が重要な場面では使いどころを選んだほうがいい。だが「Claudeの前置きが長くて読むのに疲れる」と感じたことがある人には、試す価値がある一本だ。

Peak State Global ナレッジワーカー向け17Skill ── 来るべき「プランナー向け特集」の先取り

9月30日、つまりこの記事を書く前日にリリースされたばかりの束。Peak State Globalという聞き慣れない提供元から、stakeholder-map、pre-mortem、meeting-to-actions、double-diamond、pyramid-rewrite、root-cause、six-perspectivesといった、コンサルティングやプロダクトマネジメントの現場で使われるフレームワークをそのままSkill化した17本が公開された。出力形式は「インタラクティブなHTMLブリーフ・デッキ」で、SKILL.md標準準拠なのでClaude Code・Copilot・Cursorなど複数のエージェントで使える。

これまで本連載の殿堂入り20選は開発・セキュリティ・文書・デザインという「作る」側のSkillに偏っていた。プランナーやPMの仕事で使うSkillがまとまって出てきたのはこれが初めてで、9月号で予告した職種別特集を単独回でやる前に、まずはここで紹介しておきたかった。リリース直後でスター数はまだ参考にならないので、来月以降、実際に使った感触も含めて追跡したい。

diagnosing-bugs ── TypeScript教育者が公開した「硬いバグ」専用の診断手順

TypeScriptの教育コンテンツで知られるMatt Pocockが、自分の.agentsディレクトリの中身をそのまま公開しているmattpocock/skillsというリポジトリがある。38本のSkillが入っていて、リポジトリ全体で26万5,100スターという、Superpowers級の数字になっている。その中の一本diagnosing-bugsは、「再現→最小化→仮説→計装→修正→回帰テスト」という手順を強制する、文字通りデバッガー向けのSkillだ。殿堂入り20選にあるsystematic-debugging(Superpowers)と役割は近いが、こちらはより「なかなか再現しない厄介なバグ」に焦点を絞った設計になっている。両方入れておいて、普段はsystematic-debugging、手強いやつが来たらdiagnosing-bugs、という使い分けも悪くないと思う。

クラウド大手が本気を出してきた ── Google・Microsoftの公式Skillリポジトリ

これは4月にさかのぼる話で、今月の新顔というより「見落としていたので今回拾った」枠になる。Googleは4月22日のGoogle Cloud Next 2026で、BigQuery・GKE・Cloud Run・Firebaseなど13本のSkillをまとめた公式リポジトリgoogle/skillsを公開した。ただし主眼はAntigravityやGemini CLIで、Claude Codeは名指しでは案内されていない。とはいえSKILL.md形式はオープンな規格なので、npx skills install github.com/google/skillsで中身自体はClaude Codeからも読み込める。

一方Microsoftのmicrosoft/azure-skillsは「Azureシナリオ向けの公式エージェントプラグイン」として、azure-deploy・azure-diagnostics・azure-cost・azure-rbacなど実務寄りのSkillを1.5kスターで展開している。こちらはエージェントを特定の製品に絞らない書き方になっている。

主要クラウドベンダーが本腰を入れてSkillを出し始めたこと自体が、このエコシステムがどこまで本気のインフラになりつつあるかを示していると思う。インフラ系の読者には、9月号で見送った職種別特集を待たずに、このあたりから触ってみることをすすめる。

来月に向けて

今月は「殿堂入り20選は動かさない」という保守的な判断をしたが、Peak State Globalの17Skillとクラウドベンダー勢は、来月以降の候補として本気でウォッチしている。職種別特集(プランナー・デザイナー・インフラ・デバッガー向け)も、今月拾った新顔たちのおかげで素材が揃ってきた感触があるので、11月か12月のどこかで実現したい。

/skill-doctorの実測データを選定基準に混ぜる話も含めて、来月また報告する。

※本記事の情報は2026年10月1日時点のもの。